母乳やミルクを飲んでいた赤ちゃん、牛乳はいつから飲んでよいのでしょうか。母乳はもちろん、ミルクは、人間の赤ちゃんの体の成長や吸収力に合わせた栄養成分になっています。でも牛乳は、もともと牛のミルクなので、幼い赤ちゃんに飲ませるときは注意が必要なのです。
今回は、母乳やミルクからスムーズに牛乳へと移行できるよう、飲み始めてよい時期や、飲むときの進め方、注意点などについてお話ししたいと思います。
牛乳を飲み始める時期
牛乳をそのまま飲料として飲む場合は1歳を過ぎてから、調理として使う場合は、9か月以降を目安にします。
牛乳を飲み始める時期が決まっているのは、母乳と牛乳とでは成分に差があることが関係しています。母乳と牛乳の成分の違いを見てみましょう。
脂質 | 母乳と牛乳はほぼ同じ | ||||
たんぱく質 | 母乳<牛乳 | ||||
ミネラル | 母乳<牛乳 | ||||
カルシウム | 母乳<牛乳 | ||||
リン | 母乳<牛乳 | ||||
ビタミンB2 | 母乳<牛乳 | ||||
乳糖 | 母乳>牛乳 | ||||
鉄 | 母乳>牛乳 | ||||
ビタミンC | 母乳>牛乳 |
カルシウムとリンが含まれる量は、成長速度の速さに関係しており、人間より成長の早い牛乳の方が多く含まれています。反対に脳の発達に関わる糖質(乳糖)は、母乳の方が多くなっています。
また、たんぱく質は、量だけでなく質にも違いもあり、牛乳のたんぱく質は、母乳のたんぱく質より分子が大きいのが特徴です。
これらの特徴から、消化吸収能力が未熟な赤ちゃんに、たんぱく質の量や質に違いがある牛乳を早い時期から飲ませると、アレルギー症状や下痢を引き起こす可能性があるのです。また、牛乳は、カルシウムやリンの含有量が多いため、鉄分の吸収を阻害して、貧血になりやすくなります。
そのため、赤ちゃんの消化吸収能力が、ある程度成長してくる1歳頃を目安に、牛乳をスタートするよう推奨されているのです。
牛乳の飲ませ方と進め方
初めて飲むときは少量から
牛乳を初めて飲むときは、調理も含め、50ml程度からスタートします。また、万が一のことを考えて、小児科が開いている日中に飲ませるほうがよいでしょう。お腹の調子が悪いときや、体調の悪い日は避けてくださいね。
慣れてきたら、少しずつ量を増やして、最終的には、200ml~400ml程度を目安にします。牛乳を飲んでお腹がいっぱいになって、食事が摂れないということがないように、量や飲む時間は調整してあげることが大切です。
牛乳は温めてから飲ませる
いきなり冷たい牛乳を飲ませると、刺激が強くお腹を下すこともあります。最初は温かくして飲ませてあげましょう。慣れてきたら常温にして、最終的には、冷たいままの牛乳でも構いません。慣れるまでは、温かいパン粥やシチューなど、離乳食として摂るととりやすいですね。
哺乳瓶ではなくコップであげる
離乳食が完了する1歳~1歳半の頃には、虫歯予防や歯並びのためにも哺乳瓶ではなく、コップで与えることが奨められています。哺乳瓶からコップへの移行は、赤ちゃんに合わせて時期は違いますが、1歳をめどに哺乳瓶の卒業を視野に入れていくとよいでしょう。
離乳完了期:牛乳を使ったレシピ
パングラタン | 材料 | 食パン、牛乳、スライスチーズ、好きな野菜 | 作り方 | ①食パンを食べやすい大きさにちぎる。 ②耐熱容器に牛乳とパンを入れる。 ③野菜も入れる。 ④スライスチーズをちぎって乗せる。 ⑤オーブンで焼き色がつくまで焼く。 ※オーブンが無ければ電子レンジで2分加熱でもOK |
鮭のクリーム煮 | 材料 | 鮭2切れ、ほうれん草適量、牛乳100cc、コンソメキューブ1/2、小麦粉小さじ1 | 作り方 | ①ほうれん草、牛乳、コンソメキューブを鍋に入れ、中火で煮る。 ②コンソメが溶けたら火を止め、小麦粉を入れてダマにならないよう混ぜる。 ③鍋に鮭を入れて、火をつけて再び煮る。火が通れば完成。 |
かぼちゃサラダ | 材料 | かぼちゃ2切れ、にんじん1切れ、ピーマン1/3個、味噌少し、牛乳大さじ1 | 作り方 | ①かぼちゃをレンジで柔らかくして潰す。 ②にんじんとピーマンはみじん切りにして、水をふり電子レンジにかける。 ③潰したかぼちゃに牛乳と味噌を入れてよく混ぜペースト状にする。 ④ペーストしたかぼちゃに、にんじんとピーマンを混ぜて完成。 ⑤一口サイズに丸めて、手つかみ食べをさせてあげるといいですね。 |