幼稚園や保育園の懇親会は、それぞれの園によって開催の有無や行われる回数が異なります。入園、進級後の保護者会で役員が決まったあとに行われる場合もあれば、年に数回行われるケースもあります。今回は段取りから開催までスムーズに進められるよう、懇親会の進め方マニュアルをまとめてみました。
まずは準備! おおまかな骨子を決めて役割分担を
スムーズな進行には役割分担をしっかりとしておくことが大切です。そのために、まずは懇親会のおおまかな枠組みを決めてしまいましょう。
・一人当たりの予算と日時を決める
予算を考えるときは、一人当たりの金額を元に考えると組みやすいです。公立の場合は一般的にお茶会形式で一人500円くらいから、食事会形式だと1,000円程度で決められることが多いです。分からない時は前年度など、これまでの金額を参考にするとよさそうです。
日時については園の行事とかぶらないことが大切です。また、年に何回か行う場合はそれぞれの曜日がばらばらになるほうがよいでしょう。同じ曜日の場合、来られない人も出てくる可能性があるからです。平日に行う場合は、幼稚園の降園時間に間に合うようなスケジュールを組み立てましょう。開催時間は2時間程度を見込むことが一般的です。
・形式と会場を決める
懇親会は軽く?それともじっくり?
懇親会の形式をどのようにするかも決めておく必要があります。例えば簡単な形式であれば、お茶とケーキだけでおしゃべりする”お茶会形式”が考えられます。この場合10時ごろからはじめて、お昼の12時頃には解散するのが一般的です。
もう少ししっかりとした形式にするのであれば、レストランに行ったり集会所で仕出し弁当を食べるような”食事会形式”があります。食事会形式の場合は11時ごろ集合し、食事と歓談を楽しんで降園時間に間に合うよう13時半ごろまでの会にするのがおすすめです。その他、フラワーアレンジメントなど講習会とセットにした懇親会を開く方法もあります。
保育園の場合は父兄が仕事をしていることから、開催は週末など休みがまとまりやすいときを選ぶことが多いでしょう。もしくはお迎え後の夕食の時間帯で翌日お休みなどであれば、少しの時間をみんなで過ごせるはずです。
開催場所には、「公共施設」または集合住宅の「集会所」を利用
会場については、公民館など公共の施設を利用すると比較的予算を抑えられます。他にもマンションや団地などの集会所を使う方法もあります。ただし公共施設の場合は、事前に飲食可能かどうか確認しておくようにしましょう。また、集会所の場合使い方の規約がある場合もあるので注意が必要です。
こうした場所を借りられて、さらに飲食可能であれば、仕出し弁当などを注文して食事会を開くのに大変便利です。会場内のセッティングは必要ですが、余分なものが少なく、会場内を動きやすいというメリットもあります。
レストランでの食事をする場合は人数と予算とがかみ合えば貸し切りで催すことも可能です。ただし人気のお店はランチタイムを外してほしいと言われる場合もあるので、早めに予約の電話をして確かめておくことをおすすめします。また、レストランによっては隣の席の人としか喋れないというスペースになることもあるのでよく検討する必要があります。
形式と会場についても、年に数回行う場合はいつも同じ形式、会場ではなくその都度変えられる方が不満が出づらい傾向にあります。特にいつも同じ会場だと常に遠方から来る人が決まってしまい、不満につながりやすいでしょう。
・関係各位は連絡し、役員は役割分担をする
園によっては、懇親会の費用を、園で一部負担してくれる場合もあります。また、担任の先生には通知状の配布や回収をお願いすることになるので、決まった時点で早めに連絡しておくようにします。もし園から費用の補助がない場合も、PTA活動として認められた場合傷害保険の対象になります。必ずPTAにも申し出ておきましょう。
ここまでおおまかに決まったところで役員の役割分担を行います。といっても細かく分ける必要はなく、基本的には買い出しグループと司会進行グループに分ける程度で構いません。ただし、どの係であっても「すべてのメモや資料は全員で共有する」という意識を持っておくことが大切です。
例えば会場のレイアウト図や進行表なども、みんなで共有して手伝えるようにしておくと比較的スムーズに進行しやすいです。また、緊急連絡先や参加者名簿など、作成したものは園に伝えておくと、何かあったとき連絡のやり取りがしやすい場合があります。
通知状を出したら企画の準備
次に出欠を取るためにも通知状を作成、配布しましょう。それと同時に企画の準備も行います。
・通知状の内容は具体的に
通知状の文章は決まっているところまででいいので具体的に書くようにしましょう。例えば次のような順番でまとめることができます。
- 時候の挨拶
- 懇親会の目的
- 日時・場所の説明
- 参加費
- 出欠
出欠については切り取り線などで区切り、案内状の下の方に書いておくと分かりやすいです。丸をつけてもらい、別で用意した名簿などと照らし合わせて確認するようにしましょう。回収日は配布した日から一週間後くらいにしておくのが一般的です。キャンセル時の返金方法や、窓口役の役員の連絡先も明記しておくようにしましょう。
配布や回収は担任の先生にお願いします。あとで「提出を忘れていた」と言われるのを減らすためにも、出席・欠席に関わらず全員に返却してもらうやり方がおすすめです。
・買い出しや必要物の準備
出欠の確認が取れたら買い出しを行ったり、お店に正式予約を入れましょう。お茶会形式ならドリンクやケーキ、お菓子の購入などが考えられます。
持ち帰りがしやすいよう、個包装のお菓子や500mlのペットボトル飲料を用意するのが一般的です。ケーキを用意する場合は種類を分けてもいいですが値段で不公平感が出ないようにするのもポイントです。
飲食物の買い出しで気を付けたいのは食中毒です。病原菌によって数時間後に発症するものもあれば、1週間ほどかかる場合もあります。仕出し弁当では生ものを避けるなど、選ぶ際は注意を払いましょう。
また、できれば席札や名札を用意しておくと便利です。席札は当日会場で自分の席が分からなくなるのを防ぐのに有効です。名札については、初めての懇親会だけでなく年間を通してあると便利なものです。
なかなか一度で顔と名前が覚えられる人は少ないですよね。だからといって何度も名前を聞くのも失礼なので、そうすると自然気を使うことも増えます。そうした気疲れを減らす意味でもある方が無難です。
・イベントを企画する
懇親会では改めて自己紹介の時間を設けることが多いです。ただ、年に何度か行うとなれば毎回自己紹介をするわけにもいかないですよね。そこでビンゴゲームやじゃんけん大会などのイベントを盛り込むのも一つの方法です。
ただしイベントを行う際は、体が密着しやすかったり、汚れやすいゲームは避けましょう。例えばペアになって何か行うゲームや、早食い競争などが考えられます。子ども連れで酸化する人もいるので、小さい子が怖がらないようなゲームにしたり、あまり体を動かさずにできるものにするのも大切です。
いよいよ当日! 無事に「お疲れさま」が言えるように
出欠を取ったり会場を抑えたりするだけでなく、イベントの企画、準備など役員となると結構大変です。ともあれ、準備ができればいよいよ当日。あとは注意事項を抑えて無事に終われるようにするだけです。
・当日は早めに会場入りを
役員の場合、当日は早めに会場入りしておく方が何かあったときすぐに対処しやすいです。準備には時間や手間がかかることもあるので、役員以外にもボランティアを募っておくと安心です。
・懇親会開始の挨拶は堅苦しくなくて大丈夫
懇親会が始まったら、主催者側から簡単な挨拶をしましょう。といっても、堅苦しい挨拶でなくて大丈夫です。「今日は忙しい中ご足労頂きありがとうございます。楽しんでいってくださいね」という言葉が入っていれば問題ありません。
また、このときに、より明確に楽しんでもらえるよう、今日の会のざっくりしたイベント内容や、終了予定時刻を改めてお知らせしておくようにしましょう。
・後片付けはみんなで!後日会計報告書を作成
無事にお開きになったら、役員だけでなくみんなで後片付けをするのが一般的です。役員ごとに、それぞれ座っているテーブルにいる人に声をかけて、テーブルの片付けや床掃除を手伝ってもらいましょう。
その後、落ち着いてから会計報告書を作成し、配布します。残金が出た場合は割り切れるところまで返金をしておく方が後々ややこしくならずにすみやすいです。
もし万が一事故が発生したときは、その会がPTA活動として認められていれば補償申請ができます。速やかに手続きを行いましょう。食中毒に関しては時間差で起こることが多いため、自分を含め異常がないかしばらく気を付けてみるようにします。
ある程度ざっくり、みんなで楽しめるような懇親会を
会を開くとなると肩肘張ってしまいそうですが、役員会ではざっくり日程や形式などを決め、細かい打ち合わせはそれぞれの係でしていく方が、時短につながりやすいです。また、会自体は役員が主導で行うものの、準備や後片付けなど、一般保護者で手伝ってくれるボランティアを募るのも効率的です。
注意しなければならないのは、年に数回行う場合はその都度場所を変えることです。できれば曜日も違うものにしましょう。それから当日は食中毒と事故にだけは気を付ける必要があります。
どんなに頑張っても、誰かの不満は出る可能性があります。だから6~7割賛同してくれる人がいれば、それでOKと思うように、少し肩の力を抜いて取り組むことをおすすめします。