赤ちゃんの成長には個人差があるとわかっていても、わが子のことは気になってしまいますね。そこで今回は母子手帳に載っている「成長曲線」についてのお話です。
成長曲線とは
成長曲線とは子どもの身長、体重、頭囲などの年齢(2歳までは月齢)ごとに発育の状況を男女別にグラフ化したものです。参考にするデータは10年ごとに調査され、成長曲線に反映されています。
平成27年現在の母子手帳に掲載されているものは平成22年度に調査されたデータを元に作られています。
男の子 | 女の子 | |||
身長(cm) | 体重(g) | 身長(cm) | 体重(g) | |
出生時 | 44.0~52.6 | 2100~3760 | 44.0 ~52.0 | 2130~3670 |
0ヶ月(新生児) | 48.7~57.4 | 3000~5170 | 48.1~56.4 | 2900~4840 |
1ヶ月 | 50.9~59.6 | 3530~5960 | 50.0~58.4 | 3390~5540 |
2ヶ月 | 54.5~63.2 | 4410~7180 | 53.3~61.7 | 4190~6670 |
3ヶ月 | 57.5~66.1 | 5120~8070 | 56.0~64.5 | 4840~7530 |
4ヶ月 | 59.9~68.5 | 5670~8720 | 58.2~66.8 | 5350~8180 |
5ヶ月 | 61.9~70.4 | 6100~9200 | 60.1~68.7 | 5740~8670 |
6ヶ月 | 63.6~72.1 | 6440~9570 | 61.7~70.4 | 6060~9050 |
7ヶ月 | 65.0~73.6 | 6730~9870 | 63.1~71.9 | 6320~9370 |
8ヶ月 | 66.3~75.0 | 6960~10140 | 64.4~73.2 | 6530~9630 |
9ヶ月 | 67.4~76.2 | 7160~10370 | 65.5~74.5 | 6710~9850 |
10ヶ月 | 68.4~77.4 | 7340~10590 | 66.5~75.6 | 6860~10060 |
11ヶ月 | 69.4~78.5 | 7510~10820 | 67.4~76.7 | 7020~10270 |
12ヶ月 | 70.3~79.6 | 7680~11040 | 68.3~77.8 | 7160~10480 |
1歳半 | 75.6~85.9 | 8700~12470 | 73.9~84.2 | 8050~11770 |
2歳 | 81.1~92.5 | 10060~14550 | 79.9~91.2 | 9300~13730 |
このデータをグラフ化したものが、「成長曲線」と呼ばれるものです。ちなみに「成長曲線」というのは小児科医など医療関係で使う言葉で、厚生労働省や文部科学省では「発育曲線」と呼んでいます。母子手帳にも「身体発育曲線」と書かれています。
(グラフは「赤ちゃん成長ガイド」より)
成長曲線は乳幼児期だけではない
成長曲線(発育曲線)は乳幼児期だけでなく、小学校に入ってからも利用されます。その目的は
- 成長異常の早期発見と早期治療のため
- 異常が見つかるまでは成長が適正だったことを保証するため
です。
子どもの成長を見守る大切な指標になります
成長曲線は、病気が原因で低身長や高身長になっていないかを早くに見つけるきっかけになります。特に同年齢の子どもよりも背が高くて喜んでいたのに、早期に身長の伸びが止まってしまい、最終的には極端な低身長になるというケースもあります。それを早くに見つけられるのが、成長曲線なのです。
栄養バランスを調整するための参考にも
また、栄養不良や栄養バランスの乱れによる肥満ややせ傾向を早期に発見することもできます。学校では「児童生徒の健康診断マニュアル」に沿って成長曲線を活用しています。
パーセンタイルとは?
上記のデータやグラフを見ると、同じ月齢の子どもでも身長・体重に差があることがわかります。これは「パーセンタイル」と言って、小さい方から数えて何%目の数値はどれくらいかを示したものです。
成長曲線のパーセンタイルは小さい方から数えて3、10、25、50、75、90、97%目の数値を示しています。つまり、100人の同じ月齢の赤ちゃんの身長・体重を測った際に小さい方から3番目の子の数値はパーセンタイルで言うと3に当たります。同じように97番目の子はパーセンタイルで言うと97ということになります。
パーセンタイルの帯の中に94%の子どもが入ると言われています。
赤ちゃんの成長曲線はどう見ればいい?
母子手帳の成長曲線に自分の子どもの測定結果を記入します。その数値がパーセンタイルの帯の中に入っているかどうか、また急に増えたり減ったりしていないか(急にグラフの帯の上や下に出ていないか)を見てみましょう。
パーセンタイルは目安として参考にしましょう
ただ、パーセンタイルはあくまでも目安なので、それほど気にすることはありません。参考程度に見ていただければ大丈夫です。
ここをチェック
成長曲線を記入しながら、次の点をチェックしてみましょう。
- 母乳の場合……体重があまり増えていなければ、母乳の出が悪い可能性があります。ミルクを足すとか、離乳食の内容が月齢に合っているかどうかをチェックしてみましょう。
- ミルクの場合……ミルクはどれだけ飲んでいるかがひと目でわかります。もし適正な量のミルクを与えているのに体重が増えない場合は、下痢が続いていないかなどをチェックしてみましょう。極端にやせていなければ心配はありません。
- 離乳食の場合……離乳食が始まっているのにあまり体重が増えていない場合は、量が足りているかどうか、食事内容がその子に合っているかどうかをチェックしてみます。それぞれのケースで異なりますので、心配な場合は保健師さんに相談してみましょう。
- 身長が伸びない場合……パーセンタイルの帯の中に入っていれば心配することはありません。今後、背が伸びる可能性があるので、あまり神経質にならなくても大丈夫です。
- 急に伸びが止まった……身長・体重ともに、それまでは順調に増えていたのに急に伸びが止まってしまったという時は要注意です。測定時にじっとしていないなどで多少の誤差はありますが、一度、小児科医か保健師さんに相談してみましょう。
(参考:公益財団法人 日本学校保健会)
(データ参考:厚生労働省)