何となく幼稚園に通うのが当たり前、という風潮がありますが、それはどうしてでしょうか。幼稚園は義務教育ではないので、行かないという選択肢もあります。そもそも幼稚園に行くことのメリットとはなんなのでしょうか。仮に行かないのであれば、家庭ではどういった教育をするべきなのでしょうか。
幼稚園は「小学校準備」をしてくれる
幼稚園に通うことのメリットは、小学校に入るための準備教育を受けられるということです。例えばひらがな、カタカナなど文字の読み書きを習ったり、集団生活に慣れるといったことです。いきなり小学校で親から離れるとなると、抵抗を覚えることもあります。そのため、幼稚園に通って慣れておくのも大切です。
家庭でできることもある
とはいえ、子どもの性格によっては幼稚園に通うのを嫌がったりすることもあります。地域によっては希望の幼稚園に入れなかったりして、どうするか迷われているご家庭もあるのではないでしょうか。幼稚園では確かに家庭で教えきれないものを学べる場所です。ただいくつかのことは家庭教育でも出来る場合があります。
- 文字の読み書き、時計の見方を教える
- じっと座って話が聴けるようにする
- きちんと挨拶できる
- 水道の使い方やトイレの使い方をマスターする
- 食事が一人で食べられる
- 服が自分で脱ぎ着できる、靴をそろえる
- できるだけ他の子どもが遊んでいる場所へ連れていく
- 体力をつける
小学校でもひらがな、カタカナは勉強しますが、幼稚園から学んでいるのと小学校から始めるのとでは、遅れが目立つ可能性もあります。もし幼稚園に通わないのであれば、ひと通りマスターしておくようにしましょう。
生活のルーティーンで時間の感覚を覚えましょう
また、集団生活をするために時間の感覚をつかむのも大切です。アナログ、デジタルとも、時間の見方や感覚を身につけさせておきましょう。
集団の一員としての過ごし方協調性を養う
家庭の中ではある程度自己主張したり、自由に行動することが許されますが、小学校からの集団生活ではそうはいきません。先生の話をじっと座って聞いたり、みんなと一緒に行動するという力が必要です。だから授業中勝手に立ち上がったり発言したりなど、周りの迷惑になるような行為をしないよう教育しておくことが求められます。
家の外で多い学びの”社会適応能力”
学校に通うと、「おはようございます」や「ありがとうございます」など挨拶をするのが当たり前になります。こういった社会性を養い、自分からきちんと行えるようにしておくことも大切です。
幼稚園に通わない場合、自宅が全てになってしまうことが多いでしょう。水道やトイレというのは場所によって色々なタイプがあります。全部のパターンを覚えさせるというのは難しいですが、ひねるタイプの蛇口や、上下に動かすタイプ、和式、洋式のトイレなど、できる範囲で教育をしておきましょう。
時間で行動するのは、集団生活で欠かせない一面
食事についても「時間内に食べる」というのが重要になります。家庭であれば、どれだけ時間をかけてもいいですし、好き嫌いもできます。それが給食になると、そうもいきません。特に、時間内に終わらせるということは重要です。ある程度、家にいる間にそういった時間の感覚を身につけておく必要があります。
着替えや片付けは自分でできるようになっておきたい
さらに小学校には体育の時間もありますから、服を脱ぐ、着るといった動作も一人でできるようになっていないといけません。その場合、着脱できるだけでなく、それをたたんだりロッカーに入れられる、という力も必要です。下駄箱の使い方や上履き、外履きといった感覚も同じです。
家庭教育に限界……そんなときには施設を利用しましょう
このようなことを家庭の中だけで身に着けたり教育するのは、限界があります。もし幼稚園に通わないとしても、できるだけ時間を見つけて子どもが大勢いるような場所へ連れていってあげましょう。
例えば公園や、自治体が運営する子ども用の施設などです。保育所の一時保育を利用するのも一つの方法です。そこでまた新しい友達もできますし、協調性やコミュニケーション力といったものを養うことにも繋がります。
また、幼稚園に通えば外で遊ぶ機会も増え、自然と筋力がつきます。行かなかった場合でも、できるだけ外で遊ぶ時間を作り、色んなことを体験させてあげましょう。筋力や体力が低い状態だと、集団生活の中で風邪を引きやすかったりもするからです。
幼稚園に通わないことの不安
ある程度は家庭や公共の場を利用して教育できるとしても、実際幼稚園に通わず小学校に入学するとなると、不安はつきものです。その一つが友達付き合いです。地域によっては、「幼稚園に通うのが当たり前、そのままクラスメイトも持ち上がり」というところもあります。
そういった地域では、入学した時点ですでに友達関係ができていることもあり、輪の中にうまく入っていけるかという心配があります。もちろん社交的な子であれば、自分から積極的に話しかけたりして問題なく過ごせることもあります。
反対に、なじめず苦労するというケースも考えられます。また、集団生活の中で我慢する、というのも公園や公共施設などでは身に着けきれないという不安もあります。
子どもの意志も確認
幼稚園に行かない、というのは金銭的な理由や状況的な理由など、色々なケースがあります。子どもが行きたくない、という場合もあるでしょう。この子どもの意志というのも大切なものです。
例えば入園したのに行きたくない、という場合はどうして行きたくないのかをよく確認する必要があります。幼稚園に行くと自分の思うように行動できない、家で好きなようにしたい、家にいるのが好きなど、単なるわがままで言っている可能性もあれば、なんらかの問題を抱えている場合もあります。
ただのワガママであれば、むしろ集団生活に慣れるために幼稚園に通うほうがいいこともあります。そうでない場合は、個性を大事にするという選択肢も生まれます。
もし、子どもは幼稚園に行きたいのに親の意志だけで行かない、と決めるようであれば、それももう一度検討する必要があるかもしれません。もちろん金銭的な理由や、状況が許さないこともあります。それを抜きにすれば、子どもの意志を尊重するということも大切です。
幼稚園に行く行かないは、あらゆる可能性を検討して決断を
幼稚園に行かない、という選択肢は全体から見ると少数派ですが、全くの無しではありません。もしそうするのであれば、小学校に入学した時子どもが戸惑わないよう、幼稚園で学ぶさまざまなことを子どもに経験させてあげる必要があります。
また、現在は共働きの家庭が多いことからも、幼稚園ばかりでなく保育園などいずれかに通うのが主流といった風潮があります。そのため行かないということで、周りとのズレが生まれることも念頭に置いておく必要があります。子どもの意志もよく確認し、焦って決めるのではなくじっくり考えて決断しましょう。